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年収は“どの職種か”ではなく「企業側がどう値付けするか」で決まる

まず最初に年収は、職種や業界だけで決まっているわけではありません。勿論、産業毎に成長産業・衰退産業といった違いは影響を及ぼすこともありますが、本質の大部分は企業側がその人材にどんな価値を期待し、どのレンジで値付けするかによって決まります。

私自身キャリアコンサルタントととして企業の採用担当者の方と話していると、「営業だからこの年収」「エンジニアだからこの年収」という決め方は、実はほとんどされていません。
それよりも、「この人が入ったら、どの問題が解消されるのか」「どこまでを任せられるのか」という話が中心になります。この期待値の置き方が、そのまま年収レンジになります。


なぜ多くの人が「稼げる職種探し」から入ってしまうのか

年収を上げたいと考えたとき、職種に目が向くのは自然な流れです。
求人サイトや年収ランキングを見ると、「この職種は平均年収が高い」「この業界は将来性がある」といった情報が並びます。

ただ、エージェントとしてキャリア相談を受けていると、こうした情報をもとに職種を変えたにもかかわらず、「思ったほど年収が上がらなかった」「むしろ横ばいだった」というケースを数多く見てきました。

原因は明確です。職種を変えても、企業から見たときの“使い方”が変わっていないからです。
職種名は変わっても、任せられる範囲や責任のレベルが変わらなければ、年収も大きくは変わりません。


「稼げる職種」に転職しても年収が伸びない現場の実情

転職エージェントが企業と年収を詰めるとき、必ず確認されるのが「どこまで任せられる人か」という点です。これは書類や面接で表に出る話だけではありません。

例えば企業側からは、「この人は一人でどこまで回せますか」「上流から下流まで任せられますか」「既存メンバーのどのレイヤーを代替できますか」といった、かなり生々しい質問が飛んできます。

ここで評価が曖昧になると、たとえ平均年収が高い職種であっても提示される年収は一気に下がります。
逆に、職種としては一般的でも、「この役割ならこの金額を出す意味がある」と判断されれば、想定以上の年収が出ることも珍しくありません。


年収は「職種 × 役割 × 代替可能性」で決まる

エージェント実務で見ていると、年収を決めているのは職種そのものではなく、代替可能性の低さです。企業が高い年収を出すのは、「この人でないと困る」「すぐに代わりが見つからない」という状態が想定できる場合です。

これはスキルの希少性だけでなく、経験の組み合わせや、任せられる範囲の広さによって生まれます。同じ営業職でも、単に数字を追ってきた人と事業課題を整理し、関係部署を巻き込みながら成果を出してきた人では、代替可能性がまったく違います。この差が、年収に直結することも少なくはありません。

年収が伸びている人の共通点①|企業側の「使い方」を理解したうえでキャリアを語れている

年収が伸びている人に共通しているのは、自分のキャリアを「やってきた仕事の列挙」で説明しない点です。企業側との面談の場等で、職種名や業務内容を丁寧に説明をされる人は多いのですが、それだけでは年収評価にはほとんど影響しません。評価が伸びる人は、常に「企業側が自分をどう使おうとするか」という視点でキャリアを整理しています。

例えば、「この会社のこのフェーズなら、私は即戦力としてどこを任せられるのか」「この組織規模であれば、どこまで責任を持てるのか」といった形で、自分の立ち位置を説明できます。エージェントが企業に候補者を紹介する際、実際に使う言葉は「この人は〇〇の役割であれば、ほぼ一人で回せます」「このフェーズの課題に対して、過去に同様の経験があります」といった、かなり具体的なものです。年収が伸びる人は、こうした説明を“第三者が代弁できる形”で用意できています。

これは才能ではありません。日頃から自分の仕事を「自分が何をやったか」ではなく、「組織のどこに効いているか」という視点で捉えているかどうかの違いです。


共通点②|年収交渉に耐える経験を、偶然ではなく戦略的に積み上げている

年収が伸びている人は、経験の積み方が明らかに違います。
すべての仕事を同じ重さで受け取るのではなく、「将来、年収交渉の材料になるか」という視点で仕事を選んでいます。転職エージェントが企業(人事担当者や現場責任者等)と年収を詰める際、「この人にこの金額を出す理由」を社内で説明できるかどうかが重要になります。その説明に使えるのは、難易度の高い課題をどう解決したかやどこまで責任を持っていたか、結果として何が改善されたかといった具体的な経験になります。

評価が伸びる人ほど、「楽だが説明しづらい仕事」よりも「大変だが説明しやすい仕事」を意識的に選んでいます。この選択の積み重ねが、年収レンジの差になります。エージェント視点では、職務経歴書に“使えるエピソード”が多い人ほど、年収交渉の余地を広く取ることができます。経験を「その場限りの消耗品」にするか、「将来換金できる資産」にするか。ここに、明確な分岐点があります。


共通点③|年収を「交渉の結果」ではなく「設計の結果」として扱っている

年収が伸びない人ほど、転職時のオファー金額を「交渉次第」だと考えがちです。
一方で、年収が伸びている人は、年収をあらかじめ「設計されるもの」として捉えています。また、年収が伸びる人ほど、転職のタイミングを慎重に選びます。スキルや経験が十分に評価材料として揃ってから市場に出るため、結果としてオファーが競合しやすくなり、年収も自然と上がります。

実際に様々な方々とお話をさせて頂く中で「この人は今動くべきか、もう1年待つべきか」を冷静に判断できる人ほど、長期的に年収を伸ばしています。年収を設計物として扱う姿勢が、結果の差として表れます。

年収が上がる仕組みを理解すれば、仕事の仕方も変わる

年収は、稼げる職種に移れば自動的に上がるものではありません。
企業がその人材をどの役割で使い、どこまで任せられると判断するかによって決まります。
転職エージェントの現場では、職種名よりも「代替可能性の低さ」と「説明可能な価値」が年収を左右しています。

年収が伸びている人は、キャリアを偶然に任せず、企業側の使い方を理解したうえで、評価される経験を意図的に積み上げています。転職は年収を上げるための賭けではなく、設計してきた価値を市場で回収する行為と捉えるのが良いのではないかと思います。

読者の皆様も少しでも今のご自身の現在地やキャリアについて少しお悩みをお持ちであれば、一度転職エージェントに登録を行い面談の中で自身のキャリアの棚卸しや今後のキャリアに向けての整理を行ってみてはいかがでしょうか?